
きらびやかな宮殿や、着飾った人々が行き交うオペラ座……。それらはもちろんウィーンの正装をした美しさですが、冬のこの街には、ふとした瞬間に立ち現れる「もうひとつの顔」があります。
それは、時が止まったような遊園地に息づく歴史や、知的な遊び心。今回は、映画や音楽の記憶が重層的に重なるプラーター公園と、「精神分析の父」ジークムント・フロイトの博物館を訪れました。
定番の観光ルートを少し外れて、ウィーンの素顔をのぞきに行きましょう。
大晦日「こうもり」と「ニューイヤー」はこちら🔗
この旅の全貌はこちら🔗
✏️目次
冬のプラーター公園
ウィーン2区に広がるプラーター公園。夏場の喧騒を脱ぎ捨てた冬の遊園地エリアは、どこか映画のセットのような、不思議な郷愁を誘う空間になります。
期間限定の「Wintermarkt」
訪れたのはクリスマスイブ。午前中に降った雪は上がったものの、空は厚い雲が垂れ込めています。
11月21日〜1月6日は「Wintermarkt(ウィンターマルクト)」の開催期間中。ライブステージや屋台の活気が漂っています。
1897年から街を見守る「大観覧車」
プラーターの象徴といえば、1897年に皇帝フランツ・ヨーゼフ1世の即位50周年を記念して建てられた大観覧車(Riesenrad)です。
入り口の壁に「Tradition」と書かれている通り、これはただの観覧車ではありません。映画「第3の男」でハリー・ライムが冷酷なセリフを吐き、「ビフォア・サンライズ」の2人が初めて唇を重ねたいた舞台。映画史の聖地です。
見上げると、空中ブランコが冬空を舞っています。数人の乗客を乗せて回転するその姿は、レトロな絵葉書がそのまま動き出したかのよう。寒さの中で楽しむ遊園地というのも、なかなか趣深いものです。
プラーター公園は、いわゆる「公園」かと思っていたのですが、本格的な遊園地で、多くのアトラクションがありました。敷地も広くてびっくり。
ブラームスが愛した散歩道と、旋律の記憶
遊園地を抜けると、Hauptallee(ハウプトアレー:中央通り)と呼ばれる巨大な並木道があります。かつてブラームスが、日課として思索にふけりながら歩いたといわれる道です。

写真👆はプラーターの遊園地とは別の日、快晴の午後に撮影しました。冬の裸木の影が長く伸びる光景はなんとも美しく、ここを散歩できるウィーン市民がうらやましくなりました。
公園の一角には、「20世紀のヨハン・シュトラウス」と呼ばれたロベルト・シュトルツの記念碑。石碑に刻まれた流麗な楽譜にひかれ、つい足を止めてしまいます。
🏠 Riesenradplatz 1, 1020 Wien(Googleマップ)🔗
・ウィーン観光局公式サイト(プラーターの大観覧車)🔗
・公式サイト(英語)🔗
・大観覧車の優先入場チケットを日本語で購入する🔗
フロイト博物館で「無意識」?のお土産
別の日には、ベルクガッセ19番地にあるジークムント・フロイト博物館を訪れました。プラーターの開放感とは対照的な、密度の高い知の空間です。
歴史を今に伝える「アルトバウ」
ここはフロイトが1891年から、ナチスの迫害を逃れて亡命する1938年まで過ごした場所。向かって左が入り口、中央がショップ、右手がカフェになっています。
入場するために、公式サイト(英語)🔗でオンライン予約しました。2時間チケットです。€15(2868円)でしたが、記事執筆にあたって確認すると€16に値上げしていました。ウィーン・シティカード割引や65歳以上のシニア割引などもあります。
意外にも(失礼!)世界中から訪れる人々で館内は大混雑。ふと視線を窓辺に移すと、伝統的な「アルトバウ」様式の建物の外に見える中庭の風景が、かつての診察室の面影を伝えていました。
この部屋で「夢判断」「精神分析学入門」などが執筆され、精神分析学の基礎が作り上げられたのかと思うと、感慨深いものがあります。
まさかのポップなお土産
展示を堪能した後に待っているのは、ある意味で展示以上にインパクトのあるショップコーナーです。偉大な精神分析医の概念を、これでもかとユーモアたっぷりに昇華したグッズが並びます。
棚に並ぶのは、「ANALYST(分析者)」や「NARCISSIST(ナルシスト)」の文字が書かれたマグカップ。これを友人にプレゼントすべきか、自分用にして誰かに突っ込んでもらうのを待つべきか……。
ポップアート風に彩られたフロイトの絵や、ビビッドなカラーの胸像たち。「精神分析の父」というイメージが、良い意味で軽やかに裏切られます。
極め付けは、フロイトの代名詞とも言える「寝椅子(カウチ)」が閉じ込められたスノーグローブ……。なぜこれをスノーグローブにしたのか。その答えを考えること自体が、フロイト的分析への第一歩?
カウチのイラストが描かれたカードは、心理学好きの友人に最高のお土産、かも。
「Sit down, dream, relax!」
ショップに隣接するカフェのテラス席には、こんなメッセージが掲げられていました。
「Sit down, dream, relax!」(座って、夢を見て、リラックスして!)
混雑する館内や歩き疲れた散歩の終わりに、この言葉は最高の処方箋。難しい分析はひとまず置いておいて、ウィーンの空気に身を委ねるのが正解のようです。
🏠 Berggasse 19, 1090 Wien(Googleマップ)🔗
・ウィーン観光局公式サイト(ジークムント・フロイト博物館)🔗
・公式サイト(英語)🔗
・入場チケットを日本語で購入する🔗
ウィーンの「内側」に触れる体験
今回巡った2つのスポットは、どちらもウィーンの「内側」にある歴史や文化を、押し付けがましくなく教えてくれる場所でした。
冬の凛とした空気の中で伝統を回し続けるプラーター公園と、偉大な知性をユーモアに変えて次世代へ繋ぐフロイト博物館。効率重視の旅では見落としてしまうような、この街の少しシュールで温かい内面に触れた気がします。
ウィーン観光に便利な「足」についてはこちら👇にまとめています。
歩き疲れたら、お待ちかねの「食」の時間。次回は老舗ホイリゲ再訪と、現代ウィーンの胃袋を支えるフードコートのリアルな姿をお届けします!
我が家のANAマイルの貯め方はこちら🔗
この旅の全貌はこちら🔗